大通りから裏道に入る通りに大層洒落た洋燈が建っていた。昨今はランプと呼び親しまれていると聞く、あの街灯である。ははあやはり苦情が出たのだ、これは便利になったとひとり頷いた。というのもこの路は日が暮れてしまうと本当に闇なのだ。つまづきはしないかと戦々恐々手探りで歩かねばならない。暖かい光はまるで日本ではないような非常に幻想的な光景を醸し、なるほどランプとはこういうものかと感心したのであった。
さてそのことを家人に伝えると、何とも怪訝な顔をされた。あまりに信じようとしないのですぐに連れて出たのであるが、はたしてその路に街灯などはなく、ただいつものように闇が広がる不便な路なのであった。
それ以来ランプは見ない。
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